ローヤルゼリーの採取方法

ローヤルゼリーはミツバチの女王蜂専用の食料です。通常、女王蜂は巣に1匹しかおらず、ローヤルゼリーはわずかしか生産されません。養蜂場では、ローヤルゼリーをなるべく多く採取するために、いくつかの工夫が行われています。
ローヤルゼリーはどのようにして採取され、私たちのもとに届けられているのでしょうか。

ローヤルゼリーは少量しか生産されない

ローヤルゼリーは、ミツバチの女王蜂専用の食料です。女王蜂だけがローヤルゼリーを生涯にわたって食べ続けます。ローヤルゼリーを食べた幼虫は、働き蜂よりも体が2-3倍、寿命が30-40倍もある女王蜂に成長します。

ローヤルゼリーは、働き蜂が花粉やハチミツを体内で分解・再合成し、下顎や上顎にある分泌腺から分泌したものです。働き蜂は「王台」と呼ばれる女王蜂の幼虫専用の小部屋をローヤルゼリーで満たし、将来女王蜂となる幼虫にローヤルゼリーを提供します。

巣の王台にあるローヤルゼリーをそのまま採取すれば、女王蜂が育たなくなってしまいます。また、自然の王台は数が少なく、採取できるローヤルゼリーの量もごくわずかです。

ローヤルゼリーの採取量を増やす工夫

希少なローヤルゼリーをなるべく多く採取するために、いくつかの工夫が行われています。

・女王蜂を取り除いてローヤルゼリーを大量生産させる
コロニーの中で卵を産めるのは女王蜂だけです。女王蜂がいなくなると新しい働き蜂が生まれなくなってコロニーが滅んでしまいます。
しかし、女王蜂がいなくなっても生後3日以内の幼虫が巣にいる場合は、コロニーは存続できます。生後3日以内の幼虫であれば、ローヤルゼリーを与えることによって女王蜂に成長させることができるためです。

女王蜂が巣からいなくなると、働き蜂はローヤルゼリーを通常よりも多く生産して、新しい女王蜂を育てようとします。ローヤルゼリーの採取には、こうしたミツバチの習性が利用されています。

・ローヤルゼリーの採取には人工王台を使う
自然にできる王台は数が少ないため、「人工王台」を使用します。
人工王台は、その名の通り王台を人工的に作成したもので、「王椀」とも呼ばれています。

巣から女王蜂を取り除いた状態で人工王台に生後間もない幼虫を入れておくと、働き蜂はそれらを女王候補と認識してローヤルゼリーを人工王台に貯め始めます。
こうした方法をとることで、通常よりもはるかに多いローヤルゼリーを採取することができます。

ローヤルゼリーの採取方法

ローヤルゼリーは、具体的には以下のような手順で採取されます。

・手順その1:女王蜂を巣から取り除く
巣に女王蜂がいると、その女王蜂のためのわずかなローヤルゼリーしか生産されません。
そこで、女王蜂を隔離して巣を女王蜂がいない状態にします。

・手順その2:人工王台に移虫する
自然に形成される王台は数が少ないため、人工王台を使用します。人工王台に生後3日以内の幼虫を入れて巣箱に設置すれば、働き蜂がそこにローヤルゼリーを貯めてくれます。

人工王台に幼虫を移す作業は「移虫」と呼ばれます。蜂の巣穴は直径5.5mm程度であり、「移虫針」という特別な道具で巣穴の底から幼虫を1匹ずつ移動させます。
幼虫はとてもデリケートなため、繊細な作業が要求されます。また、作業が遅いと幼虫が乾いてしまうため、素早く行う必要もあります。

人工王台に幼虫を移した後、人工王台が設置された巣枠をミツバチの巣箱に納めます。

・手順その3:ローヤルゼリーを採取する
幼虫を移してから72時間以内に、人工王台が設置された巣枠を巣箱から取り出します。
人工王台の中の幼虫をピンセットで取り除いた後、ローヤルゼリーを採取します。ローヤルゼリーは酸化しやすいため、木製や樹脂製の専用スプーンを使用します。

空になった人工王台には別の若い幼虫が移され、再度ローヤルゼリーを採取するために巣箱に設置されます。こうした根気と熟練が必要な作業を繰り返すことで、ローヤルゼリーが生産されています。

人工王台の使用などによって採取量は飛躍的に増えましたが、それでも1回の採取で1つの巣から15g程度しか採取できません。

採取したローヤルゼリーはどうなる?

採取されたローヤルゼリーは不純物が取り除かれた後、そのまま生ローヤルゼリーとして出荷されるほか、乾燥ローヤルゼリーや調整ローヤルゼリーに加工され、消費者である私たちのもとに届けられます。

まとめ

ローヤルゼリーはミツバチの女王蜂専用の食料であり、通常は微量しか生産されません。そこで、巣を女王蜂がいない状態にして、働き蜂にローヤルゼリーを大量生産させる方法がとられています。
人工王台の使用によって採取量は増加しましたが、それでもわずかな量しか採取できません。ローヤルゼリーは、とても貴重です。